フルボ酸、フミン酸(腐植酸)のキレート作用をわかりやすく解説!

シラジット

今回は、土壌中に存在する不思議な物質「腐植酸」についてお話します。腐植酸は、植物の生育に欠かせない様々な役割を担っています。その中でも特に注目すべきは「キレート作用」です。

腐植酸は、植物や動物の遺骸などが微生物によって分解・合成される過程で生成される有機物です。土壌の肥沃度や保水性、通気性を高めるなど、植物の生育に良い影響を与えます。

腐植酸は、大きく「フミン酸」と「フルボ酸」の二つに分けられます。

  • フミン酸: アルカリ性の水に溶ける性質があります。
  • フルボ酸: フミン酸よりも分子量が小さく、酸性とアルカリ性の両方の水に溶けるという特徴があります。

そして、このフルボ酸が持つ重要な働きが「キレート作用」です。天然のキレート剤といえます。

キレート作用とは、特定の分子が金属イオンと結合し、安定な化合物を形成する現象のこと。カニのハサミが獲物を掴む様子に似ていることから、「chele(ギリシャ語でカニのハサミ)」という言葉が由来となっています。

フルボ酸は、カルボキシ基やフェノール性水酸基といった官能基を多数持っています。これらの官能基が金属イオンと結合することで、植物の生育に必要な栄養素を効率的に吸収したり、逆に有害な重金属を土壌に固定したりするなど、様々な効果を発揮します。

フルボ酸のキレート作用は、農業分野において、土壌改良剤として広く利用されています。

  • 土壌中の鉄、マンガン、亜鉛、銅などの微量要素をキレート化し、植物の栄養吸収を助けます。
  • リン酸の固定化を軽減し、土壌中のリン酸の有効活用を促進します。
  • 土壌中の微生物の活動を活発化し、団粒構造の形成を促進することで、土壌の物理性を改善します。
  • 塩害を受けた耕地の除塩にも利用されています。

このように、腐植酸、特にフルボ酸は、キレート作用を通じて植物の生育を支える重要な役割を担っています。農業分野では、土壌改良剤として広く利用されており、植物の生育促進、土壌の物理性改善、塩害の軽減などに効果を発揮します。

腐植酸は、農業分野だけでなく、医療分野や環境分野でも応用されています。医療分野では、抗炎症作用、抗アレルギー作用、抗酸化作用、重金属のデトックスなど、様々な生理活性を示すことが報告されています。環境分野では、水質浄化や土壌汚染の修復に利用されています。

腐植酸は、天然のキレート剤として私たちの生活を支える重要な物質と言えるでしょう。

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