なぜCBDが消化器系に良いの?「ECS」という体の司令塔
私たちの体には、「エンドカンナビノイドシステム(ECS)」という、まるで体の司令塔のような重要なシステムが備わっています。このECSは、体の様々なバランスを保つ役割を担っており、特に胃や腸といった消化器系の働きにも深く関わっています。
ECSは、主に以下の3つの要素で構成されています。
- カンナビノイド受容体(CB1とCB2):鍵穴のようなもので、特定の物質が結合することで体の反応を引き起こします。
- 内因性カンナビノイド:鍵のようなもので、私たちの体の中で自然に作られ、カンナビノイド受容体と結合します。
- 合成・分解酵素:鍵を作ったり、壊したりする役割を担っています。
このECSが正常に働くことで、消化管の動き、お腹の感覚、体の免疫力、そして炎症のコントロールなど、消化器系の大切な機能がスムーズに行われます。
CBDと消化器系の関係:鍵と鍵穴の物語
CBDは、このECSの「鍵穴」であるCB1受容体やCB2受容体に直接強く結合するわけではありません。しかし、間接的に、あるいはECS以外の他のシステムとも協力し合うことで、様々な良い効果を発揮すると考えられています。
1. 胃や腸の動きと痛みのコントロール
- CB1受容体:胃や腸の神経、そして脳にたくさんあります。この受容体が活性化すると、胃の動きをゆっくりにしたり、胃酸の出方を抑えたり、食欲を増進させたり、お腹の痛みを和らげたりする役割があると言われています。
- 例えば、CBDを摂取することで、胃の動きがゆっくりになることが報告されています。しかし、不思議なことに、胃の動きが遅くなっても、吐き気や嘔吐の症状が改善されたという研究結果もあります。これは、CBDが「胃の動き」だけでなく、「お腹の感覚」にも働きかけ、「気持ち悪さ」を感じにくくしているからだと考えられています。特に、ストレスなどでお腹の不調を感じやすい**過敏性腸症候群(IBS)**のような方には、CBDが内臓の過敏な反応を和らげることで、症状の緩和に役立つ可能性があるのです。
2. 炎症の鎮静化
- CB2受容体:主に体の免疫細胞に多く存在し、炎症を抑える役割を担っています。消化器系では、**炎症性腸疾患(IBD)**のような炎症を伴う病気の改善に役立つ可能性が期待されています。
- CBDは、炎症を引き起こす物質(サイトカイン)を減らす働きがあることも研究で示されており、抗酸化作用と合わせて、胃や腸の炎症を抑える手助けをしてくれる可能性があります。
3. ECSの自然な回復力をサポート
科学者たちは、腸に何らかの「問題」が起きた時、ECSが、その問題に素早く対応し、自らバランスを取り戻そうとする働きがあることを発見しました。例えば、腸の炎症がひどくなると、ECSの「鍵穴」であるカンナビノイド受容体の数が増えることが分かっています。
CBDは、このECSが本来持っている「自ら回復しようとする力」をサポートすることで、消化器系の病気の根本的な改善につながる可能性があると推測されています。これは、CBDが単に症状を抑えるだけでなく、体の自然治癒力を高める手助けをしてくれるかもしれない、という非常に重要な発見です。
CBDはECS以外にも良い影響を!
CBDは、ECSだけでなく、他にも様々な体のシステムに良い影響を与えることが分かっています。
- GPR55:腸の炎症や動きに関わる受容体です。
- 5-HT1A受容体:吐き気や不安、痛みに関わる受容体で、CBDはこれに働きかけることで、吐き気や不安の軽減に役立つ可能性があります。特に、抗がん剤治療による吐き気(CINV)の緩和にCBDが有効であるという研究も進められています。
- PPARγ:腸の炎症を抑える受容体です。
- TRPV受容体:痛みを感じるシグナルを伝える受容体で、CBDがこれに作用することで内臓の痛みを和らげると考えられています。
これらの働きを通じて、CBDは腸内細菌のバランス、免疫細胞の働き、腸のバリア機能の改善など、消化器系全体の健康にポジティブな影響を与える可能性があるのです。
具体的な症状へのCBDの可能性
- 吐き気と嘔吐:CBDは、抗がん剤治療による吐き気や嘔吐の軽減に役立つ可能性が示されています。セロトニン受容体という、吐き気に関わる部分に作用することで効果を発揮すると考えられています。
- 胃潰瘍と胃炎:直接的な研究はまだ少ないですが、CBDの抗炎症作用や、胃酸分泌を抑える可能性から、胃潰瘍や胃炎の症状緩和に役立つかもしれません。ただし、CBDは病気の「治療薬」ではありませんので、必ず専門家にご相談ください。
- 食欲不振:特に、病気などで食欲がない方に、CBDが食欲を刺激する効果が期待されています。
最後に:CBDと上手に付き合うために
今回の記事で、CBDが私たちの消化器系に多岐にわたる良い影響を与える可能性について、ご理解いただけたでしょうか。
CBDは、私たちの体に備わっている素晴らしいシステム「ECS」をサポートし、消化器系の様々な不調の改善に役立つことが期待されています。しかし、CBDは医薬品ではありません。 もし、消化器系の不調でお悩みであれば、まずは専門のお医者様にご相談いただくことが最も大切です。そして、CBDの利用を検討される際には、信頼できる製品を選び、適切な方法で摂取するように心がけましょう。
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